仕事柄ダウンタウンの金融街には良く足を運んでいた。
もう数年前の夏のこと、休暇中であったが米国本社の米人上司に挨拶に参上する途中、証券取引所前で見かけたチョイと不思議で奇抜な光景に足を止めた。
二人の若い女性がポーズを取り数秒間静止した状態を続ける。そして、また次のポーズに移る。時に対称、時に非対称のポーズ。時には二人が妙な形で重なり合い、聊かエロチックな形を連想させるシーンもあった。集まって来た観衆も静かにこの不思議なパフォーマンスを見続けている。抽象画を見ているような感覚。過去に見たこともなかったこのような静的パフォーマンスが路上で行われていることに驚愕。静的であるがゆえに掻き立てられるイマジネーションや解釈の仕方にも妙に広がりが出てくるものだ。
「ウォール街を占拠せよ - Occupy Wall Street」 当時そんな運動が現地では起こっていた。不当な少数金満家、政府、経済界への抗議運動がまだ続いているのかと思いきや、政治的抗議運動とは対極を成す芸術的空間が資本主義のシンボルたる場所、証券取引所前にて生まれている。ニューヨーク、いや流石に懐深い !刺激溢れるこの大都会、また行きたくなってしまう。