
20世期を代表する世界的な彫刻家 イサム・ノグチ。
東洋と西洋の狭間で生まれ育った天才芸術家。Wiki で調べてみると、何と山口淑子(李香蘭)と結婚していた時期もあったという波乱の人生、まあそんなことはどうでも良いが。
自分が最初に勤務した米国銀行の本社を初めて訪れたのが1986年だったか、ニューヨークのウオール街にある本社ビルの前庭や1階中庭にある彫刻がイサム・ノグチの作品だったことから、彼の名を知り興味を持つようになった。
彼の激動の人生の最終章にて生まれたのが札幌市郊外の大地に広がる『モエレ沼公園』。
元来はゴミ処理場だった埋立地を公園化すべく、イサムが基本設計を受け持ち、最終的には2005年に完成した。
イサムはマスタープランを作成した後の1988年には生涯を閉じ、公園の完成を目にすることはなかったという。
東京ドーム40個分の広大な公園。
綺麗に貼られた芝生と人工の山。
公園そのものが彫刻作品、というイサムらしい発想が具現された超巨大アートである。
一切の商業主義を排し、シンプルな幾何学模様を思わせる抽象画の世界、一見殺風景、いや殺風景だからこそ想像力を刺激する、なかなか実験的で挑発的な世界である。
こういうの、嫌いではない、いや、むしろ心地よい。快哉を呼ぶ、と言っても良い。
自分の一枚の写真だけでこの公園をズバリ核心突く表現にて皆さんにお伝えすることは難しい。
どう撮れば最もシンボリック?? どこの景色をどう切り取って一枚を撮るべきか?
百枚、いや千枚の写真でもこの公園を本質的に捉えるのは難しいのかもしれない。
そもそも正解などないのであろう。
訪れる人の多寡、季節や天候、心の有り様によっても見える景色、解釈はかなり変わって行くことだろう。
雪にも近い雨が強く降り出し、凍える寒さが襲う。折角来た念願の地だったが、すぐに思考能力が奪われ、動き廻る体力気力も失せた。
楽しみにしていたモエレ山(52m)に登るどころか、周囲全般を歩くことも諦めたことは残念至極。
色々な箇所で多くの枚数の写真を撮りたいと考えていたが僅かばかりしか撮れず、満足行く写真は撮れなかった。
今後何度も来なければならぬ場所になった。